「でも、ちゃんと保健室で休め。送るから……」
「うん、ありがとう晴希くん」
そう言って、2人が寄り添いながら教室を出て行く。
それを見送りながら、私はどうしていいのか分からずにいた。
私のせいじゃないなんて、どうして言えるの?
記憶が無いのに、どうしてそう思ったんだろう。
無くしてしまった記憶がそう思わせているのか、それとも……。
「記憶が無いからこそ……」
そんなふうに、無垢に私を気にかけてくれるんだ。
そんなことを頭でグルグル考えていた私は、八雲が迎えに来るまでしばらくその場を動くことができなかった。


