「北園さん……」
本当にごめんなさい、辛い思いをさせて……。
ごめんと……口で言うには簡単すぎて、思いが伝わらないと思った。
「雨音さん、私にはいい兆候なんだよ。だって、決まって記憶を取り戻しそうになると起こるから」
「北園さん、どうして……」
北園さんは困ったように私に笑いかける。
北園さんまで……私に優しくするの?
どうして、私はあなたから記憶を奪ったのにっ。
でも、北園さんは、まるで………謝らなくていいんだよ。
あなたのせいじゃないよ……。
そう言っているように思えたから、胸が締め付けられた。


