「本当に記憶を奪ったのが雨音さんだとして、だとしたらこんなふうに、申し訳ないなんて思ったりするかな?」
「もっと、嫌ったり怒りが湧いてきたりする……よな」
その後は、泉くんが答えた。
それに、北園さんは静かに頷く。
いいや、北園さんは私を嫌いだった。
だから……申し訳ないだなんてそう思うのは、やっぱり同情なんだよ。
「それに私、泉くんのことも……知らなすぎだと思うの」
「それは……」
でもそれは、記憶を失っているからじゃ?
知らないのも、当然だと思うけど……。
でも、何かが引っかかるのか、北園さんも泉くんもずっと難しい顔をしていた。


