――ズキンッ。
こんな光景、やっぱり見ていたくないな……。
最近、泉くんと話す機会があったからか、また泉くんと近づきたいという邪な考えが浮かんでしまう。
もう、早く音楽室に逃げよう。
私が、愚かな考えを持たないうちに、早く……。
そう思ってその場から離れようとした時……。
「あっ、雨音さん!」
驚くことに、北園さんが私を引き止めた。
それに、クラス中の空気が少しだけピリピリとする。
「ちょ、ちょっと雪乃、なんでアイツに話しかけてんの?」
「そうだよ、アイツ犯罪者だよ?」
北園さんの取り巻きの女子たちが、こっちに聞こえるようにわざと大きな声で北園さんに耳打ちした。


