*** 昼休み、私はいつものようにカバンを持つと、教室を出ようと立ち上がった。 それに、隣の席の泉くんがビクリと肩を震わす。 ……え? こんなこと、一度もなかったのに……。 私の存在は憎むべき相手で、視界に入れるのさえ嫌がっていたはず……。 だからか、こうして私の動きに反応する泉くんが珍しかった。 「ねぇ晴希くん、今日はバイト?」 「え、あ、あぁ……」 すると、泉くんの席へ北園がやってくる。 2人は、記憶が無くても、どこからどうみてもお似合いの恋人だった。