そう思って、すぐに自分の気待ちを疑った。


「……は?俺、何考えて……」


知りたいって、何だよ……。

自分の気持ちのことなのに、頭が混乱してる。


相反する感情に俺は戸惑って、胸のあたりが重く締め付けられた。


「……なんで、こんなことになっちまったんだろうな……」


俺は、傘を少しだけ持ち上げて雨空を見上げる。

そういえば、アイツとこんな風に、雨音を見上げた事があったな。


1年の……6月だったか、天気予報が外れて傘を忘れた俺達は、雨宿りをした。


アイツは、俺と雰囲気が似ていて、どこか人付き合いが苦手そうに見えた。


だからか、初めて話したのに、そんなに気を遣うこともなく居心地が良かったっけ……。


「あの時の雨音は……」


もう少し、穏やかな顔をしてた。

表情が多い方じゃねーけど、もっと笑ってた気もする。

なのに、その笑顔が思い出せないほどに、無表情な顔と、傷付いたような顔しか浮かんでこない。