「何なんだよ、本当に……」
そのくせ、傘を返そうと引き止めれば、戸惑った顔をする。
目線なんて合ったことが無い。
アイツは、俺を見ようとはしないから……。
昼休み、俺がアイツに言った言葉を思い出す。
『……何でだよ、大事なモン奪っておいて、そんな……気遣うみたいな言い方するな……』
『っ……』
アイツ……すごく傷ついた顔をしてたな。
それを、悟らせないように顔を俯けて……。
「罪悪感なんか、感じてない……。雪乃を傷つけた、最低なヤツのはずなのに……っ」
雪乃に忘れられた痛みは、苦しみは誰にぶつければいい。
お前をこれ以上知りたくない……。
知れば知るほど、自分がアイツをただ責めてるだけの最低な人間に思えてくるから。
なのに、会えば会うほど……お前は謎めいていて、知りたいとも思う。