この恋が罪だとしても

【晴希side】


――ザァァァァーーーッ。


雨の中、雨音に渡された傘を手に立ち尽くす。

頭の中は、たくさんの「どうして」が溢れて、雨音 梓という存在が何者なのかを分からなくさせた。


「どうして、俺なんかほっておけばいいだろ……」


あんなに必至に……傘なんて渡しに来なくても良いのに。

それに、俺はお前に……散々酷いことを言った。

俺を気遣ったりする理由が、思い当たらねぇ……。


「アイツは……俺の大事なモノを奪った、最低最悪な犯罪者のはずだろ……?」


なのに、見え隠れする俺の知らないアイツ。

雪乃を助けようと、おぶろうとしてみせたり、こうして俺に傘を貸してくれたり……。