「はぁっ、はっ」
「わー、またバケツの水でも被ったの?」
昇降口へと戻ってくると、そこには八雲がいた。
ニコリと笑って、私に軽く手を上げる。
「今回は、雨に濡れたの」
「へぇ〜……で、話は済んだの?」
なっ、分かってるなら最初からそう聞けばいいのに……。
絶対に、私と泉くんが話してたの見てたんだ。
八雲、腹黒いやつめ……。
「傘貸してきただけ」
「ふぅん、梓って本当にお人好しすぎっしょ」
呆れたように笑う八雲から、私は不貞腐れるようにフイッと視線をそらした。
「お節介なのは分かってるし……」
「まぁ、俺はそんなお節介に救われたわけなんだけどね」
「うん?」
私のお節介が、八雲のことを救った?
その労わるような声に、私は八雲に視線を向けた。


