「っ……泉くん!!」
そう思ったら、いてもたってもいられなくて、私は全力で雨の中を走った。
そして、前を走る泉くんに声をかける。
「っ……雨音?」
すると、私の声に驚いた泉くんが立ち止まって私を振り返った。
「はぁっ、はぁっ……」
良かった、止まってくれたっ。
こんな雨の中帰ったら、泉くんが風邪をひいちゃう。
だから、せめて私に出来ることは……。
「これっ、使って」
「は?な、お前これ……」
まだ息も絶え絶えの私は、自分の傘を泉くんに差し出す。
泉くんは傘と私を交互に見ると、驚いたように私を見つめた。


