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放課後、私は八雲を昇降口で待っていた。
八雲はバイトをしていて、いつもなら先に帰るのに、休みの日はこうして気まぐれに一緒に帰ろうとする。
でも、今気づいた……。
八雲は、私が落ち込んだり、傷ついたりしている時に、こうして傍にいてくれてるのかもしれない。
――ザァァーーッ。
聞こえる雨音に、私は昇降口から分厚い灰色の雲を見上げる。
あの日、泉くんと出会った時もこんな雨だったな。
天気予報が外れて、傘を忘れたあの日は、1人だったら憂鬱で、最悪な日だと思っていただろう。
だけど、隣に泉くんがいてくれたから……。
たまには、天気予報が外れてもいいかも、なんて思ったりしたっけ。


