この恋が罪だとしても




「行こう、俺、腹減っちゃった♪」

「八雲……」


何事も無かったように私の手を引く八雲。

私に向けられる笑顔はいつものヘラヘラした笑顔だった。


「雨音……」


背中越しに、泉くんが私を呼ぶ。

それに、ビクリと肩が震えた。


「っ……」


なんて言えばいいの。

さっきのことは気にしないで、私のことを憎んだままでいいよって?

どの言葉も、泉くんを追い詰めてしまうような気がした。


「行くよ、梓」

「あ……」


そんな私の手を、八雲は強く引いて歩き出す。

それに引きずられるように、私達は教室を出たのだった。