「どうして……」 「……あなたの、記憶を奪ったから」 「っ……それは……」 言葉をつまらせて俯く北園さんに、私はもう1度念を押すように伝える。 「北園さんにとって私は、憎むべき相手だよ。だから、そんな風に優しくしなくていい」 「…………」 何も言わなくなった北園さんに、私は背中を向けてしゃがんだ。 「あの、雨音さん……?」 それを見た北園さんが、困った顔をする。 だって、仕方がないじゃない。 北園さん歩けないって言うし、おぶっていくしか……。