｢え、北園さん？？｣
｢あっ……雨音さん？｣
倒れていたのは、北園さんだった。
床に両手をついて、私を見上げている。
まさか、こんなふうに北園さんと鉢合わせるとは、思ってなかったな……。
――ドクンッ。
心臓が、罪悪感に痛んだ。
どうして、よりにもよって私の前で転けるの……。
どっちの運が悪いのか、分らない。
｢……手、捕まって｣
今すぐ逃げ出したい衝動に駆られながらも、私はおずおずと手を差し伸べた。
｢あ、ありがとう……｣
すると、少しだけ怯えたような顔をして、すぐに私の手に捕まる。
その手を力いっぱいに引けば、なんとか北園さんは立ち上がることが出来た。
