『ねぇ、名前教えてよ。あっ、俺は八雲って言うんだ』
『いやだ』
『ええっ、なんでさ!』
学校の人と話したのは、数日ぶりだった。
だけど、八雲との会話は、久しぶりに私も楽しいと思えた時間だったのを覚えてる。
それからというもの……。
***
「まぁ、俺のブレザーでも着なよ?」
「いらない」
「またまたー、遠慮しなさんなって!」
あの出会いをきっかけに、私は八雲に付きまとわれている。
無理やり私の肩にブレザーをかける八雲とブレザーの押し付け合いをしながら、私達の休憩スポットである音楽室へと向かった。


