この恋が罪だとしても



『頬、赤くなってる』


なにか冷やすもの……。

あー、何もないや……なら、濡れて冷えた私の手でもいいか。

その頬に手を伸ばせば、熱く火照っていた。


『あ、え……きみ誰??』

『私が誰なんて、重要?』

というか、それを知ったらこの人も逃げてくんだろうな。

『いや……そうでもないけどさ』

なんだかよく分からない会話をしながら、私はその頬を冷やし続ける。


『ぷっ……ていうか、きみの方が大変そうだけど?』

『あぁ、まぁ……お互い様じゃない?』

『確かに!』


そう言って笑った男子は、逃げていった女子の言うような最低な人には見えなかった。


人は、いろんな罪を抱えて生きてる。

大小関わらず、みんな……。