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『あーあ……冷た……』
あたしはこの日も、濡れネズミ状態で廊下を歩いていた。
トイレに入った途端、上から水が降ってくるなんて……。
なんてベタな罠にハマったんだろう。
『くしゅんっ、はぁ……』
そんなことを考えながら、髪から滴る水を手で絞って廊下を歩いていた時だった。
――パシィィンッ!!
まるで、ものすごい勢いで平手打ちをしたような、乾いた音が廊下に響く。
えっ、何事なの……?
ここまで響く平手打ち……さぞかし、叩かれた本人は悶絶してることだろう。
放課後、部活動に行った学生以外は、ほとんどの生徒が帰ったからか、やけにその音が大きく聞こえた。


