この恋が罪だとしても



***


『あーあ……冷た……』


あたしはこの日も、濡れネズミ状態で廊下を歩いていた。

トイレに入った途端、上から水が降ってくるなんて……。

なんてベタな罠にハマったんだろう。


『くしゅんっ、はぁ……』


そんなことを考えながら、髪から滴る水を手で絞って廊下を歩いていた時だった。


――パシィィンッ!!


まるで、ものすごい勢いで平手打ちをしたような、乾いた音が廊下に響く。


えっ、何事なの……?

ここまで響く平手打ち……さぞかし、叩かれた本人は悶絶してることだろう。


放課後、部活動に行った学生以外は、ほとんどの生徒が帰ったからか、やけにその音が大きく聞こえた。