「八雲、ありがとう……」
「……どういたしまして」
そう言ってこちらを振り返ることなく、手をヒラヒラと振って音楽室を出ていく。
そんな八雲に、私は心の中で感謝した。
私に、恋の幸せを教えようと最後まで優しくしてくれたきみに、出会えてよかったと心から思う。
「泉くん」
「おう……」
だから、私も目の前のきみと向き合おう。
私の心の中に居続ける……大好きな人に。
「話が、あるんだ……聞いてくれる?」
「雨音……俺もあるんだ、聞いてくれ」
そう言ってすれ違い続けていた私達はようやく、目を見てちゃんと向き合うことが出来たのだった。


