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放課後、音楽室にやってきた私は、怪我をしていない方の右手でピアノの鍵盤に触れた。
――ポロン……ポロン……。
その優しい旋律に、私は泣きたくなる。
北園さんの記憶が戻ったのに、泉くんと北園さんはバラバラになってしまった。
私を好きになってくれた八雲にも、私に忘れられない人がいる限り、応えられない。
「私は、誰かを傷つけることしか出来ない……っ」
誰もが幸せになれる方法なんて、無いのかもしれない。
私がした選択で、絶対に誰かは傷つく。
それでも、譲りたくない想いって、何だろう。
「八雲……」
八雲といれば、想われる幸せを知ることが出来る。
八雲を好きになれたら、どんなに良かっただろう。
私が弱っている時、必ず傍にいてくれる……優しい人。


