【梓side】


翌日、学校へやってくると、自分の机に違和感を覚えた。


あれ、私の机に、落書きが無い……。


前から、私の机には『犯罪者』『死ね』の落書きがあったのに、それが綺麗に消えてるのだ。


「お、おはよう……雨音さん」

「……え?」


しかも、クラスメイトがぎこちないけれど、私に挨拶をしてくる。

それに戸惑って、私は挨拶を返せなかった。


なにが、どうなってるんだろう……。

戸惑いながら席につくと、隣の席の泉くんが私の方を向いた。


「はよ、雨音」

「っ……え、と……」


泉くんは、優しく私に微笑みかけてくれる。

なんで、泉くんもみんなも、私を普通に扱うんだろう。

突然、見知らぬ世界に来てしまったみたいで、怖くなった。