「っ……雨音……」

「泉くんの存在が怖いの……」


泉くんに拒絶されることが、今はとてつもなく怖い。

優しさを知ってしまったから、怖くてたまらないんだ。


「本当の本当に……さよなら、泉くんっ」

「雨音!!」


それだけ言い残して、八雲と保健室を出る。


「梓……本当は……」


すると、私を支えていた八雲が何かを呟いた気がした。

それに気づいていたのに、今の私は、酷く疲れていて、聞き返すことが出来なかった。


これで良かったんだよね?

誰かを傷つける私は、ずっと一人でいればいい。

そうすれば、誰も傷つけることは無いんだから。


そう自分に言い聞かせたのに、涙は止まることなく流れ続けたのだった。