「雨音……」

「……梓、行くよ」


八雲が、私の体を支えながら立たせる。

すると、体のあちこちが痛んだ。


「痛っ……」

「大丈夫?俺に寄りかかっていいから……」

「ごめん……」


私は、八雲に支えられながら、保健室の出口へと向かう。

すると、私の手を泉くんに掴まれた。


「雨音、俺の話を聞いてくれねーか?」

「っ……優しくしないで、私……今、泉くんにどんな顔して会えばいいのか、分からないっ」


私は、泉くんを振り返ること無くそう告げた。

今更、泉くんに優しくしてもらおうとは思わない。

ずっと誰かを傷つけてきた私は……もうこの恋を叶えることは許されない。

だからせめて、泉くんと離れたい。

傍にいると、好きが溢れて苦しいから。