【梓side】


あの事件から1ヶ月が経った、5月のこと。

「来たよ、うちのクラスの犯罪者」

「………」


朝、登校してくると、私の机には毎日と言っていいほど、酷い惨状が広がっている。

机には『死ね』『人殺し』の文字。

殺してはいないけど、それと同じくらいの事をしたんだから、当然の報いだと思う。


私は、それを拭き取ることもせずにそのまま席についた。


最初は、ちゃんと拭き取っていたけれど、毎日となると骨が折れる。

いつからか、このままでもいいかと、気にならなくなっていた。


「本当に、同じクラスとか最悪だわ」

「…………」


これは、私のこの学校での日常。

それを、辛いと思う事さえ、罪のように思えた。