「……っ、そうだったのか……」
「でもそれを、雨音さんが全力で走って拾おうとした」
「……雨音が?」
泉くんの、驚いたような声が聞こえた。
そうだよね、驚くよね……。
私が、この時すでに泉くんのことを好きだったことなんて、知らなかったはずだから。
「……泉くんの、心を守りたかったんだって。その時に、私と雨音さんがぶつかって、私は階段から落ちちゃったの」
「じゃあ、雨音は俺のために……」
「故意に落としたんじゃないの、事故だったんだよ。それも、私の傲慢さが招いた……事故」
北園さん……。
あれは、事故なんかじゃない。
私が、泉くんを好きになったことがいけなかった。
それが、全ての原因なんだよ……。


