「あの日、私が記憶を失った日に、泉くんからテディベアーのキーホルダーを貰ったでしょ?」
「あぁ……」
「私は、勝手に泉くんのことをクールでスマートな男子だと思ってたの。顔も良くて、私に釣り合うと思った」
わざと、明るくそう言った北園さん。
階段上の踊り場で話している時、真実を知ることが怖いって震えてた。
真実を伝えることに、どれだけの痛みを感じてるんだろう。
「だから、正直私の思ってた晴くんと違ってガッカリした私は……あんなテディベアーなんか要らないって、階段から捨てたんだ」
きっと、そう言いながらも北園さんは傷ついてるんだと思った。
最低な人だって、自分のことを責めてたから。


