『雪乃っ、雪乃!!』

保健室で眠る少女の名前を、何度も叫ぶ私の大好きな人。


『あなた、誰……?』

『嘘、だろ……雪乃、俺のこと覚えて無いのか……?』


なのに、神様は残酷だ。

目覚めた少女から、大事な記憶を奪っていったから。


ううん、違うね……。

奪ったのは、神様ではなく、この私だ。


『お前は……俺の大事なモノを奪った』


向けられる、憎悪の視線。

それは、私の心臓を抉り、まるで鎖のように絶望が体を締め付ける。