「中途半端な感情で、梓のこと傷つけないでくれる?」
「っ……」
八雲の言葉に、泉くんは息を呑んだ。
「何も言えない、梓を好きになる覚悟も無い。それなら梓のことあげないから」
そう言って、八雲が私の腕を引く。
私はその勢いで立ち上がると、泉くんの腕から出て、代わりに八雲に抱きとめられた。
「八雲っ……」
「全く……こんなに泣くくらいなら、最初から俺のところに来ればいいのに」
「え……?」
「音楽室じゃなくて、俺のこと頼りなよってこと」
そう言ってニコリと笑う笑顔は、やっぱり本物だった。
最近思うことがある。
八雲は私にだけ、本当の笑顔見せてくれてるんじゃないかって。


