「俺の梓チャン、よくも泣かしてくれたよね」
「っ……え、八雲……」
涙でぐちゃぐちゃな顔で音楽室の入口を見ると、そこには息を切らして立っている八雲の姿があった。
「梓チャンってば、俺が呼んだのに全力でダッシュしちゃうんだもん、心配したじゃん」
あ、あの時聞こえた私を呼ぶ声は、八雲だったんだ。
逃げることに必死すぎて、全然気づかなかったよ。
そう言って八雲は私たちにゆっくりと歩いてくる。
「ねぇ、泉クン」
「……白石、八雲……」
私たちの前に立つと、八雲は泉くんのことを笑顔で見下ろした。
でも、その笑顔には怒りがこもっているような、そんな威圧感がある。


