「え、梓………」
すると、走っている途中で名前を呼ばれた気がした。
だけど、この時の私は今すぐにでもこの場から逃げ出したくて、足を止めることなく音楽室へと駆け込む。
「はぁっ、はぁっ……うぅっ」
ピアノへとよろよろと歩いくと、両手で顔を覆った私は、そのまま泣き崩れた。
「うぅっ……」
なんで、なんでこんなに好きなんだろう。
こんなに辛いなら、恋なんてしない方がずっと楽なのに。
なのに、この恋心を捨てられないことが……苦しいよっ。
――タッタッタッ。
すると、足音が聞こえた。
そして、ゆっくりとすぐ私の後ろで止まる。


