「……雨音、お前顔色が……その手、どうした?」
すると、私の異変に気づいた泉くんが私の手首に視線を落とした。
「ちょっと、捻って……」
「いいから、見せろ!」
泉くんはそう言って隠していた私の手を外すと、腫れた左手首を見て目を見開く。
「お前……何で黙ってたんだよ!!」
「えと……なんとなく、言い出せなく……て……っ」
泉くんは、なぜだか泣きそうな顔で、私の手首を見つめた。
なんで、泉くんがそんな顔をするの……。
私のことなんかに、心を砕くことないのに。
「これくらい、大丈……」
「嘘つくな、辛そうな顔してるくせに!!」
安心させたくて言いかけた言葉は、泉くんの怒った声に遮られる。
安心させたかったのに、泉くんはもっと悲しそうな顔をしてしまった。
「クソッ、悪かった……もっと早く助けに来てやれば……」
「泉くん……」
泉くんが、こうして私を心配してくれてるのが夢みたい。
私、痛過ぎて幻でも見ちゃってるのかな……。
「痛かったろ……」
私の手首に優しく触れて、泉くんは悔しそうな顔をする。
それに、なんだか心が温かくなった。
そして、無性に泣きたくなる。


