「雨音さんってさぁー、晴くんの事、好きでしょ?」
「……え?」
唐突に、北園さんが私の秘密を暴く。
動揺した私は、危うく楽譜を落としそうになった。
「顔を見てれば分かるよ。まぁ、残念ながら晴くんは私にゾッコンだけどね」
「……何が言いたいの?」
わざわざ嫌味を言うために、私に声をかけたの?
いや、そこまで北園さんだって暇じゃないはず。
というか、一緒に帰ろうとか言ってなかった?
「美人で、ピアノもできる完璧な雨音さんにも、手に入れられないものがあるんだなぁって♪」
「……私は、別に完璧なわけじゃないけど」
なんだか、北園さんが嬉しそうに見えるのは気のせい?
どうしてここまで私に突っかかるのか分からない。


