この恋が罪だとしても

【晴希side】


「いらっしゃいませー」


放課後、3年目になるコンビニのバイトにやってきた俺は、レジに立ちながらぼんやりと考えことをしている。


今日、アイツに傘を返しに行った俺は、やっぱり行かなきゃ良かったと後悔していた。


『どこかに捨てたって、良かったのに……』


そう言って、小さく笑う雨音の姿が頭から離れない。


だって、アイツがあんな風に笑うとは……思わなかった。

苦笑いだったけど、俺の中では貴重な笑顔だ。



「アイツのピアノ……初めて聞いたな」


静かに、シトシトと降る雨のように優しく切ない旋律。

ピアノに詳しいわけじゃねーけど、アイツのピアノに心が揺れた。