放課後。


今日は部活はちょうどお休みで、大ちゃんのお見舞いに行くことにした。


下駄箱で靴を履き替えようとすると手芸部の顧問の先生が声を掛けてきた。


「木下さん!帰るなら部室の鍵ちゃんと職員室に返してから帰りなさい!」

「え?今日は部室行ってないですよー?鍵も触ってないです…」

「あなたと烏山君以外に誰が持って行くの?烏山君は欠席なんだから!ないなら探してちょうだい」


先生は少し怒りながら行ってしまった。


そもそも部室はいつも最後に閉めに来るの先生だから私達はほとんど触らないのに…


仕方なくとりあえず部室に鍵を探しに行った。





部室をの扉を開けると、心地良い風がフワッと私を包んだ。



あれ?窓…開いてる…



すると、窓枠に大ちゃんが座っていた。



珍しく学ランを着ていなくて、白いYシャツ姿の大ちゃん。




「…え?大ちゃん!何で部室いるの!?具合は!?大丈夫?」



大ちゃんに駆け寄ると、大ちゃんは窓枠から降りて私をふんわりと包み込んだ。


「……だ…いちゃん…?」

「…小鳥…短い間だったけど…小鳥と過ごせて楽しかったよ…」

「何言ってるの?最後のお別れじゃないんだから…そうだ!さっき気付いたんだけど、大ちゃんの連絡先知らなかったんだぁ…教えてもらって…」

「………小鳥……大好きだよ…」

「……え?」



バサッ…



顔を上げると、大ちゃんの背中から白い翼が見えた。



「じゃあね…」

「大ちゃん!?やだッ…大ちゃん!」



大ちゃんは私から離れて頭を撫でると、ふわっと浮いて窓枠の上に立って優しく微笑んだ。