黒い怪物くん





学校案内頼まれたけど…別にしなくても大丈夫だよね?
授業の合間の休み時間なんてあんまり時間ないし、お昼休みだってご飯別々に食べるのにわざわざ私が案内しなくても、それまでに話した人が案内するだろうし。


それに、しなかったからっていちいち先生に案内してもらえませんでしたなんて言いそうに見えないしさ。


私は烏山君と目が合わないように、授業が終わったらすぐにトイレに行って時間を潰した。



トイレから戻る途中。


ドンッ


「わぷッ!わぁ!ごめんなさ……」


廊下の突き当たりで、ぶつかったのは烏山君だった…。


「……いや…こっちもごめん…」


初めて声聞いた…じゃなくて!


私が案内する係だってわかってるかな…?あの時声出しちゃったし…目も合ったし…。


烏山君への対応を考えていると、烏山君はスッと私の横を通り過ぎていった。


良かった…私の事気にしてないみたい。でも、もうすぐ授業始まるけどどこ行くんだろう?


通り過ぎていった烏山君を気になって見ていると、キョロキョロしている。



………私が案内してないから迷ってるじゃん!



「烏山君!何か探してるの?」

「ごめん…トイレどこだろう?」

「こっちですよ!」


私は急いでトイレの場所を教えてあげた。


「ありがとう」

「いえ…」

もしかして…ずっと迷ってたのかな?


だとしたら…私すごい最低な事したよね…。


こんな思いやりないから彼氏出来ないんだ!


烏山君…ここまで迷いながら来たってことは帰りも迷うかもしれないし、待ってよう。


気付いた時に思いやり精神と…女子力を高めないと…


「うわー…焼き鳥、男子トイレの前で覗きかよ…マジで引くわー」


反省しながら烏山君を待っていると、男子トイレから先に出てきたのは鷹哉…。


「違います!烏山君の事待ってるの!」

「は?何で?」

「戻る時迷っちゃったら可哀相だから」

「みんな焼き鳥並の知能だと思うなよ?一回通ってきた道迷わねぇだろ」

「うるさいなぁ、学校案内先生に頼まれてるんだから当然なの!私は優しい女の子になるんです」

「今更?おせぇ…」


鷹哉に絡まれていると、烏山君がトイレから出てきた。


「か、烏山君…教室までお供しますね!」

「え…ありがとう」


烏山君はそう言うと、少し微笑んだ。


あれ…?意外と優しい雰囲気だ…。