「あ?なんだよ?…って、カラスか?ふっ…小鳥だけあって怖いのか!?その歳になってカラス怖いとか……え?」


私は足が竦んで、近くにいた鷹哉にしがみついていた。


「ぅぁッ……怖い…ふぅッ…」


小さい時の追い掛けられたトラウマで、カラスが近くにいるだけで怖くて仕方がなかった。
あまりの恐怖に涙が溢れて来る。


「な!?」


鷹哉はカラスのいない方に引っ張ってくれる。



バサッバサッ



離れたところに行くと、大きなカラスは木々の生い茂った近くの家の庭の中に飛んで行った。


「おい…もう行った……」

「はぁ……鷹哉ごめんね!小さい時にカラスに追い掛けられてからカラス苦手で…って!やだ!何で私鷹哉にくっ付いてるんだろ!?」

私は慌てて鷹哉から離れた。

「おまっ!自分からくっついておいてなんだよ!?…チッ…カラス怖いとか女子かよ」

「女子だよっ!もう!」


いくらカラスがいたからって鷹哉に抱き付いてしまうなんて…不覚。。


それにしても、さっきのカラス大きかったな…。
そういえば小さい頃追い掛けてきたカラスもあんな感じだった。


すると、カラスが入って行った家から人が出てきた。


その人を見て私は息を呑んだ…


背が高くて…がっちりした大きくてシュッとした身体…


一瞬さっきのカラスなんじゃないかと目を疑った。


その人と一瞬目が合うと、フッと鼻で笑って行ってしまった。


…うん。顔はそれなりにカッコイイかも。



「う、うちの学校の制服着てたな……見たことねぇけど……」

「……うん。違う学年の人かな?」


その時風が吹いて…その人の背中の辺りから何かが落ちた。


それが風で私達の前にヒラリと飛んで来た。

鷹哉がそれを拾い上げると、それは真っ黒なカラスの羽…


「何か落ちたって…羽か。さっきのカラスのか?その家入って行ったもんな」


私はその人の後ろ姿をしばらく見つめていた。