私とお兄ちゃんは年子だけど、ギリギリ同学年。



家族を褒めるのもどうかと思うけど、第三者目線で見ても、お兄ちゃんは勉強も出来るしスタイルも良くて、カッコ良くて、優しくて…もう、全てにおいて完璧。


成績も微妙で、高校生になっても子供っぽい私と兄妹だなんて信じられない。


「治樹(ハルキ)君、おはよう!」


お兄ちゃんと家を出た瞬間、家の前でお兄ちゃんと同じクラスの女の子が待っていた。


「あれ?家の前で待っててくれたんだ。おはよう」

「早く治樹君に会いたくて…」

「ありがとう…手繋ごうか」

「うんっ」


その子はお兄ちゃんに手を握られると、頬を赤く染めた。


「小鳥、ごめん。先行くよ」

「あ、うん!また後でねー」


お兄ちゃんはその子と手を繋いで、行ってしまった。


彼女だよね?つい二週間前に付き合ってた子と違う子だけど…。


お兄ちゃんがモテるのは悪い事じゃないけどさ…


短期間で彼女変わりすぎだよ!






「朝からトロトロ歩いてんなよ。焼き鳥」


一人で考えながら歩いていると、後ろから憎たらしい声がして、私はバッと振り返った。


そこにいたのは私の中学の頃からの天敵の矢嶋鷹哉(ヤジマ タカヤ)。


「焼き鳥じゃない!小鳥だもんッ」

「俺の行く手遮った罰として今日の昼ご飯焼き鳥の奢りな」

「意味わかんない!何で私がバカ哉に奢らなきゃいけないの!?本当、鷹哉ムカつ…く……」


鷹哉とのいつものやり取りをしながら怒っていた私の目の前に、バサバサッとカラスが舞い降りて来て私は動きを止めた。