黒い怪物くん



私が動くと、私の背中の所にいる烏山君が後ろからギュッと、私の体を引き寄せて口を手で覆った。



そして、耳元で囁かれる。


「ごめん…嫌かもしれないけど、少し我慢してて」


烏山君にぎゅっと抱き締められると、こんな状況なのに何だか懐かしくて…心地良い…そんな気分になっていた。

不思議と、烏山君の事少し苦手なはずなのに嫌悪感とかはなかった。



それどころか、私の心拍数も上がっていく…。



ロッカーに空いてる穴から入る光がフッと消えて、部室の扉が閉まる音がした。


すると、烏山君の腕が緩んでロッカーを開けた。


「もう行ったみたいだな…木下、大丈夫?」

「…へ!?だ、大丈夫だよ?」


音立てちゃダメだったとはいえ、あんなに密着してしまって…なんか…気まずい…。



「えっと…帰ろっか」

「あぁ…そうだな」


私は暗闇の中、扉の方を手探りで開けようとするけど、開かない。


「あれ…?」

「もしかして、施錠されてる?」

「あー!そうだ!先生が閉めっちゃったんだ!」


どうしよう…鞄もさっき窓から投げちゃったからスマホもないし。


もしかして、朝まで烏山君と二人きり…?