次の日の朝。
いつもの時間に家を出て、いつもの路地で小鳥と治樹と合流する。
いつもと同じ朝だけど、いつもと違う事が起きた。
いつも俺を見つけると不満そうな顔をしていた小鳥が今日は笑顔で俺のところへとやってきた。
「鷹哉ぁ、おはよー」
「!?」
驚いてしまって上手く返せなかった。
すると、治樹が俺達を見てふっと笑う。
「じゃあ、俺は先行くね」
「あああ…あぁ!」
うわ…俺動揺し過ぎだ…。
小鳥に挨拶もまともに返せてねぇし!
治樹が行ってしまって俺達は黙ってしまう。
しばらく黙って歩いてから俺は声を出した。
「……小鳥…おはよ……う」
「へ!?」
「へじゃねぇよ!挨拶返したんだろ…」
「時間空いてたからビックリしたんだもん!」
いつもの調子が戻らねぇ…
俺達は、烏山の事は触れずに他愛のない話をしながら学校へと向かった。
学校の教室に着くと小鳥は急にピタリと足を止めた。
小鳥の目線の先は烏山の席だ。
…いつもと同じように振る舞ってるけど、まだ烏山の事立ち直ってるわけじゃねぇからな。
小鳥が涙を堪えてるのがわかる。
「…小鳥」
「あ…ごめ!ボーッとしてたぁ…」
「ちょっと来いよ」
「ふえ…?」
教室の近くの空き教室に小鳥を連れて行って、教室のドアを閉めた。
「…何ー?」
「泣いていいよ。教室じゃ泣けないだろ」
「へ、平気だもん…」
「泣くの堪えてんのわかってんだよ」
俺は小鳥の頭を自分の胸に押し付けた。
「……ふぇッ…堪えられたのに………鷹哉のバカァ……ふえぇッ」
烏山の事は誰かに言って信じてもらえるような事ではない分小鳥が泣けるのは一人の時か俺といるときくらいだ。
小鳥が涙を堪えてる時は俺が支えてやろうと心に決めた。