ーーーー10年前。





「カァァーーッ!カァァーーッ!」

「うえぇッ!来ないでぇ!怖いよぉーッ!」



公園で遊んでいた私に迫って来たのは大きなカラスだった。

どうして追いかけて来るのかわからない。



目が合ったわけでもないし、



こっちが脅かしたわけでもないし、



もちろん、いたずらをしたわけでもない。



私は後ろから飛んでくるカラスから一目散に逃げた。



飛んでくるカラスに速さで勝てるわけもなく、そのカラスの足は私の頭をガンっと蹴ってそのまま飛んで行った。


その拍子に顔から転倒…


大泣きをしていると、黒いパーカーを着た男の子が走ってきた。


「かーちゃん!待ってー!あれ!?転んだの?」


その男の子は私に気付いて駆け寄って来た。


「うわああぁッ!カラスがぁッ!」

「あ!かーちゃん!」


男の子は先ほど私に攻撃してきた木にとまっているカラスを見てそう言った。

かーちゃん?カラスがお母さんなの?


「ごめんね!かーちゃんと遊んでたんだ…」

「ああー!何してんだー!僕の妹いじめるな!」


一緒に公園に来ていたお兄ちゃんがトイレから戻ってきて、急いで私を立たせてくれた。


「イジメてないよ…」

「ふぁああッ!…転んだぁッ!」

「あ!オレ、かーちゃん追いかけないと!お兄ちゃん来たからもう大丈夫だよね?」



その男の子はカラスが飛んで行った木の方へと、走って行くのを泣きながら見ていた。



この時から私は10年経った今でもカラスが大の苦手な生物。