一瞬の後、空気の密度がぐっと濃くなった。ひんやりした何かが私を包む。
私は覚悟を決めてゆっくり瞳を開けた。

それはヨーロッパの古城を思わせる建物の一室のようだった。
しかも、やたら狭い。

真っ暗なそこは地下牢を思わせる狭さだった。

パッと執事の手が離れる。

「さあ、魔王様の元に参りましょう」

軽い調子で言うとすぐコツコツコツ、と、靴音が遠ざかっていく。