・・・などと軽口を叩ける雰囲気ではない。
店員が、ずらりと持ってきた素敵なスーツをキョウは一瞥して、その中から数点を選んだ。
彼はもちろん、私にも服をそろえて持ってきてくれた。

「あの、これは?」

「お腹空いてるんだから、とっとと着替えてくれる?
ここが嫌いって言うんだったら、食事の後に別の店に連れて行ってあげるから。
今は我侭言わないで」

えーっと、ものすっごく高圧的に、いかにも私が我侭だ、みたいに言うのは辞めていただけますでしょうか……。

迫力に押されて、私は渡された服の中から早急に一つ選んで身に纏う。
おお!
馬子にも衣装とはこのことだ。
セーラー服から、ネイビーのプリーツ入りノースリーブワンピースへと着替え、ついでにヘアスタイルまで整えてもらった私は、自分でも驚くくらい『高級ブランド服の似合うお嬢様』へと変身していた。

店員以上にこなれた雰囲気で黒スーツをさらりと着こなしたキョウが私を見て華麗に微笑む。

「馬子にも衣装って、こういうことだっけ?」



……そうだとしても、本人には言わないのが礼儀ってヤツよ!!
まったく、もう。