恋人は魔王様

ピンポーン

今からやることの重みを思えば、なんとも場違いな軽い呼び出し音が響く。

新聞の勧誘でーす!
なんて言い出しそうな、軽いノリでジュノが呼び鈴を押していた。

「緊張感ってものは、ないわけ?」

私は一応苦言を呈する。

きょとん、と、ジュノが目を丸くした。

「こんなに空気軽いのに?」

そうだった。
私は心の中でぺろりと舌を出す。

どうして、すぐに同じ人間だと勘違いしてしまうんだろう。

こいつは悪魔、悪魔、悪魔。

自分に言い聞かせてみて、やはり気分が悪くなる。
私は出来れば、人間と一緒に過ごしていたいのだ。

単純な話。

「これ、壊れてるのかなぁ?」


ピンポン、ピンポン、ピンポン

誰も出てこないのを不満に思ったジュノは幾度も呼び鈴を鳴らしまくっていたが、あ、そうか!と、何かを思い出したかのように玄関の扉に手をかけた。

「これだけ押したら次は、玄関を勝手に開けるんですよね☆」

二時間ドラマの定番ですね、と、わくわくしながらドアを開ける。

もちろん、それは元々かぎの掛かってあるものだ。
何かしらの力で、ぱきん、と、鍵を外す。
しかし、中のチェーンにまでその力は及ばないようで。

「すみませーんっ」

と、軽い口調で言いながら、ジュノはチェーンのついた玄関を力任せに引っ張った。