恋人は魔王様

「いえ、マッタク。
ジュノの言うとおり」

私は平淡な声で答えた。

「いやだなぁ、もう」

ジュノが唇を尖らせるっ!
謝らなきゃ、駄目?
なんだかもう、面倒なんだけど……

と、思っている私に、びしっと人差し指を差し出すと、綺麗な顔をきりりとさせて至極真面目にジュノが言う。

「フナコシさんって呼んでよね!
折角浸ってるんだから」

おいおい、そっちかよ!!

私は、冷めかけたコーヒーを全て胃に流し込んでから、持てる力の全てを振り絞ってにこりと微笑んでやった。

「そうでしたわね、フナコシさん☆
さすがはフナコシさんですわ。鋭いご指摘。今後の展開が楽しみですわね♪」


どうだ。
これで、文句ないでしょう?!




私の目の前には、至福の喜びに浸りながら美味しそうにコーヒーを味わっている、悪魔が一匹、居るだけだった。