「ダメに決まってます、玲依兄さん」


そう、真面目に後ろから声をかけた。


幸い、本気でそんなことを言っていたわけではなく、彼女もいるみたいだったけど、俺からしたらかなり大問題だ。


で、久しぶりに玲依兄さんに会えたことを喜んでいる汐莉にちょっとムカついている。


今日はデートなのになんかテンションが下がる。


「だって、今日デートじゃん」


「うん、そうだよ?楽しみしてるよ?」


「俺の事だけ考えてればいいのに、玲依兄さん来てくれたから喜んでるし」


ムスッとした口調で言うと、汐莉は少し困った顔をして俯いてしまった。


「ごめんね...でも、優人とデートめっちゃ楽しみにしてたの!玲依くんと会ったことなんて比べ物にならないくらい!」


必死に俺に伝えようとしている汐莉を見れば、俺のこんなちっぽけな嫉妬心なんて消えて。


玄関だというのに、抱きしめしてしまった。


「ゆっ優人っ」


「汐莉のこと世界で1番好きだから」


「私も世界で1番好きっ!」