〈汐莉side〉

デート行こう、と優人に誘われた。


デートって響きがドキっとする。


もちろん、うんと答えたけどね。


今まで出かけることはあっても放課後くらいしかなかったし。


朝から服とにらめっこ。


髪もセットしないと。


やることは多いけど、楽しみすぎたんだもん。


ようやく決めたころ。


ピーンポーン。


玄関のチャイムが鳴った。


優人来たのかな?と思って、ドアを開けると...。


「あれ、しおりんじゃん。久しぶりだね」


「れ、玲依くん!?」


玲依くんってのは私の従兄で、となりの市に住んでいたけど、地方の大学に通うために下宿している。


小さい頃はたまに遊んでもらってたなあ。


帰ってきてたんだ。


「どうしたの?」


「しおりんママに用事があったんだけど…いる?」


「あ、今仕事でいなくって」


今日も朝から仕事のお母さん。


今日は土曜日なんだけど、朝から残業だなんて、お疲れ様です。


「そっかー。聞いてから来ればよかった」


「いつもお母さん仕事だから...」


「じゃあいつも1人なの?大丈夫?」


それは優人がいるから全然大丈夫。