ただ胸きゅんしたい短編 幼なじみ編


〈優人side〉

眠った汐莉。


熱なのか何なのか、少し火照って赤みを帯びた頬。


少し苦しそうに顔を歪めている。


今のうちにと、静かに部屋を出て洗面所のタオルを借りて、水に浸し絞って部屋に戻れば、汐莉のおでこに乗せる。


それからさっきの料理の続きをする。


おかゆが作れる材料はあったので勝手に使わさせてもらう。


一応お母さんは家で料理教室を開くほどの腕前なので、俺はそれなりにできる。


「よしっ」


おかゆを作って汐莉の部屋に戻ると、まだ無事に寝ていた。


まだ熱はありそうだけど、表情はさっきより穏やかになった気がする。


ほっと安心しながら、汐莉が目覚めたら食べさそう、そう思った。