期末テストは、悠里のおかげというか学年1位の田畑くんのおかげというか、まあ総じて見ればだいたい自分の実力でなんとか乗り切ることができた。
ここから終業式をすれば夏休みだ。


「あー、今までのテストで一番自信あるわあたし……」


「頼子、今回頑張ってたもんね」


「マニュアル本だけは完璧にしようと思って勉強したんだけどさ。結局田畑くんのノートの分量半端なかったから、いつもより勉強しちゃったよね……。なんか騙された気分」


「まあまあ、できたなら良かったでしょ」


「や、ほんと、それもこれも美琴がデートという犠牲を払って下さったおかげでありまして…」


「うわあ、嫌なこと思い出させないでっ」


頼子の言葉に耳を塞ぐ。


「……でも、明日だよね?夏祭り」


「あああ…」


さらなる追い討ちに、私はしゃがみ込んで現実を拒んだ。
そこにやけに明るい声が割り込んできた。


「おう、美琴!明日よろしくなー」


見上げると、佐野がにこにこして近寄ってくるところだった。


「え?明日華道部あったっけ?」


佐野といえば華道部、しか思いつかずに首をかしげると、なんだお前聞いてないのと佐野は唇を尖らせる。


「夏祭り、悠里に誘われたんだよ。蓮見も来るんだろ?」


「え、……じゃあ、もう一人の男子って佐野!? そっか、悠里とサッカー部で一緒だもんね」


悠里もさすがに見ず知らずの男子を私と鉢合わせる気は無かったらしい。
良かった、これなら明日も乗り切れるとひと息つく。