「失礼します。資料を持ってきました。」
（えっと、あの人は...）
思わず目があの人を探してしまう。

（あ、いた...）

珈琲を片手に仕事をしてる姿にどこか大人の男の人を感じる。
あの優しい笑顔とは違ってキリッとした顔立ちで綺麗な横顔に思わず見とれてしまった。

あの人が私の目線に気付きこちらを向く。
目が合った...

ドキッ...

あっ、と思い目を逸らしてしまった。

｢あれ？中田さん？どうしたの？｣

(あ、名前覚えててくれてる...)
｢あの、資料を持って来たんです...｣

｢おー！ちょうど良かった。これが無いと仕事が進まなくてね、ありがとう(笑)｣
そう言って優しく笑う。
その笑顔のせいか私は咄嗟に
「あ、あの！名前を教えてください！！」
と言ってしまった。

｢名前？僕の名前は米田 真太郎だよ。｣

(ﾖﾈﾀﾞｼﾝﾀﾛｳ...さん)
｢な、なんかすみません！突然名前なんか聞いてしまって、用も済んだので私教室に帰ります！｣
動悸がおさまらなくて汗が止まらない。

｢そう...午後も頑張ってね(笑)｣

そう言うとあの人は自分の机に戻ってまた仕事を始めた...