「とりあえず今日泊まる旅館に行こうか。」
そうして私達は旅館へ向かった。

「う~わ~、、綺麗...なにこの旅館...」
そこはどこかの令嬢が泊まるんじゃないかと思うほど綺麗で広かった。

「ではお部屋に案内します」
案内人に案内されるがまま部屋へ向かった。

「こちらでございます。」

その部屋は京都の町並みが一望出来る部屋だった。

「どうぞごゆっくり」

2人きりの部屋。
「これは、なかなか凄いねぇ。ねぇ?凜ちゃん」

「はい!凄すぎます!これ米田さんが予約してくれたんですよね?」

「うん。そうだよ、せっかく好きな人と来るんだからと思っておじさん奮発しちゃった。」

(やばい...嬉しすぎる...)

「ありがとうございます!ほんとに!予約からなにから全部してもらって、せめてお金くらいは払いたいんですけど...」

「お金...?大丈夫だよ!恋人の費用くらい安いもんだよ!」

「で、でも、それじゃあ私の気が済みません!」

「ん~、お金は要らないから...あ!じゃあひとつ僕のワガママ聞いてくれないかな...?」

「何でも聞きます!!何ですか?」

「えっとね、凜ちゃん僕のこと米田さんって呼ぶでしょ?なんか上の名前だと距離感があるから下の名前で呼んで欲しいなぁって...ダメかな...」

「全然ダメじゃないです!で、でもちょっと待ってください...。ふ~~っ」
私は心を落ち着かせた。

「し、真太朗さん...」

「はい(笑)」
そう言って、優しく笑う。

「可愛いなぁ凜ちゃんは(笑)」
すると米田さんはハグをしてきた。

「ど、どうしたんですか?いきなり」

「ん~?可愛すぎて思わず」

(可愛いのは米田さんだってば!!)
心臓が持たない。このドキドキがどうか米田さんに伝わりませんように...。

でも米田さんの胸から聞こえてくるのは
私と同じくらい早い動悸だった。

(一緒だ...)
と思えるのが幸せ。

「よし!じゃあ行こうか!」

「はい!(笑)」