指輪を買ってもらった。
可愛い洋服を見た。
美味しいオムライスを食べた。
幸せで幸せで……
『恐いな……』
なんて思う。
『恐い? 誰が?』
夜道に車を走らせ、うちに向かう十和は、フッと苦笑して応えた。
『ううん、人じゃなくて。 この幸せはいつまで続くのかなって』
貧乏性?
今までが幸せに思わなかったから、こんな風に考えてしまうのかな。
自分でも、よくわからない。
『何で? 永遠に続けようよ』
『……十和』
十和はいいな。
いつも前向きで、不幸なんて吹っ飛ばしてしまいそう。
そんな十和だから、憧れた……
『アユ、顔上げて』
『え?』
十和に促(ウナガ)されるまま、顔を上げる。
それと同時。
十和の柔らかい唇が、私の呼吸を妨げた。
『ふ……ッ』
え、あ、何?
舌……ッ
『は、あッ…… 十和、信号ッ』
『大丈夫、まだ赤だから』
『あ……ッ』
噛み付くようにして、再び重なる唇。
やだ、意外だ。
十和も、こんな餓えた動物みたいに激しいキス、するんだ……
《ププーー!!》
と突然、鳴ったクラクションにハッとし、十和の顔を押して離れる。
『はは、怒られちった。 後ろから』
いつの間にか信号は青。
は、恥ずかしー……
十和の顔、まともに見れないよ。
『アユ。 俺がずっと傍にいるから、馬鹿みたいな未来、想像すんなよ』
ニッと不敵な笑みを見せ、私に言い聞かす十和。
ってか、ちゃんと前向いて運転してよ。
『……ありがと』
私も、少し楽しい未来を描いてみるからさ……

